樅の木は残った

新幹線移動の車中だけなので三巻を読み終えるのに約70日を要した。

62万石の伊達藩を分割して弱体化させる陰謀に対し一人の家臣が立ち向かうという昭和33年に発刊された時代小説であり、作者の山本周五郎は「政治と一般庶民のつながりは征服者と被征服者との関係を離れることは出来ない・・・・「いかなる時代、いかなる国、いかなる人物によっても、政治は常にそうである」と評している。

自藩の安泰のために命を賭した原田甲斐が最後に樅の木だけを残した生き様は、国の抑止力と、沖縄の生活の安全という命題で右往左往する国政とを改めて比較する中で暗澹さを感じるのは私だけだろうか。